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Blog むし歯について.よく頂くご質問Q&A
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患者様からよく頂くご質問についてまとめました.
今回はむし歯について述べたいと思います.
どうしてむし歯になるんですか?
むし歯は、口の中に存在する細菌が糖分をエネルギー源として利用し、酸を産生することで歯の表面を溶かし、穴をあける病気です。
砂糖や甘い食べ物を頻回に摂取したり、適切な歯磨きをしなかったりすると、細菌が増殖し、酸を放出してむし歯が進行する可能性が高くなります。
歯ブラシしてるはずなのにむし歯になってしまうのはなぜですか?
食生活習慣がむし歯のリスクに最も大きく関与しています。
臨床経験上,むし歯が多発している患者様のほとんどが歯ブラシの習慣よりも食生活が原因と言っても過言ではありません.特に砂糖の頻回摂取は、むし歯の主な原因とされています。頻回の間食(だらだらと甘いお菓子を食べたり,ちびちびと甘い飲み物を飲んだり)、粘着性の高い食品(チョコレートやキャラメル)などが挙げられます。
糖分を摂取すると(食事),口内の細菌(歯垢)が糖をエネルギーとして取り込み,酸を放出し、歯を溶かす酸性状態を作り出します。
糖の頻回摂取は、口腔内の酸性状態を長時間維持することになるため、むし歯のリスクを高めます。また,粘着性の高い食品や飲料は、口内に長時間残り、細菌が繁殖する原因となります。
甘いものを絶対に食べたらいけないとは言いません.私たち歯科医師・歯科衛生士も甘いものを食べることはあります.しかし,むし歯の知識を持って,食生活習慣を意識しながら規則正しく摂取するようにしています.具体的には,甘いものはデザートとして食事と一緒のタイミングで規則正しくまとめて食べるようにしましょう.
むし歯を予防するにはどうすればいいですか?
むし歯を予防するには、むし歯の原因などの知識を理解しご自身で予防する意識が最も重要です.
砂糖(あめやキャラメルなど)や甘い飲料(ジュースやカフェオレなど)をちびちび摂取したりすることを避け、メリハリをつけた規則正しい食生活習慣を心がけましょう。細菌(歯垢)が酸を放出するためのエネルギーを与えないイメージです.
加えてセルフケア(ご自身での歯磨き)とプロフェッショナルケア(定期的な歯科医院での予防メインテナンス)が大切です。酸を放出する細菌(歯垢)そのものを減らすイメージです.
むし歯になりやすい体質や遺伝ってありますか?
むし歯のリスクには、遺伝的な要因や先天的な歯の形態の影響もありますが、大部分は後天的な要因が関係しています。中でも食生活習慣が最も大きな影響を与えます。砂糖や甘い飲料の摂取機会が多かったりすると、むし歯の発生リスクが高くなります。
しかしながら,口腔内の細菌環境は子供時代に家族(とくにご両親)から感染し完成します.大人の口腔内には虫歯菌が定着していることが多く、子供とキスや食器を共用することで、生まれてきた子供の未完成な口腔細菌環境にも虫歯菌が定着する可能性が高まります。
ですから,おおよそ3歳になるまでは可能な限り子供と大人で食器を分けることで、感染のリスクを減らすことが望ましいです。また,家族の口腔内にむし歯菌が少ない環境を常に作っておくことも重要です.つまり,ご家族みんながむし歯を放置した状態にしないことが子供のむし歯リスクを高めないために重要です.
むし歯になりやすい場所ってどこですか?
虫歯になりやすい場所は、歯と歯の間、噛み合わせの溝、歯の裏側、治療したつめものの周囲など、歯ブラシで磨きにくく、酸を放出する細菌が繁殖しやすい場所です。
特に歯と歯の間は非常にむし歯が好発しますので,歯ブラシに加えてフロスを使用することが重要です.歯ブラシだけでは歯と歯の間の歯垢を完全に取り除くことはできないため、フロスを使うことで、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。ただし、フロスは正しい使い方が必要であり、力を入れ過ぎたり、歯茎を傷つける可能性があるため、歯科医師・歯科衛生士から正しい方法を学んで使用することが大切です。
歯磨き粉はどんなものを選べばいいんですか?
むし歯予防のためには、フッ素を含んだ歯磨剤を使用することが効果的です。フッ素は歯を強くし、むし歯の発生を予防する作用があります。
成人の場合は歯磨剤に含まれるフッ素の濃度は、高濃度の約1500ppm(1450ppm)のものを選ぶようにしましょう。
一回の歯磨きに使う歯磨剤の量は多めに2cmほど使い,2分以上かけて、1日に2回以上磨くようにしましょう.歯磨きをしたあとはフッ素の効果を発揮させるためにできるだけ洗口はしないようにし,歯磨きの後は2時間以上空けて食事をするようにしましょう.(小さな子供の場合は,使用する歯磨剤のフッ素濃度に関して歯科医師・歯科衛生の指導を受けるようにしましょう。)
もちろん,単純に高濃度フッ素含有の歯磨き粉を使用すればOKという話ではなく,しっかりとブラシで機械的に歯垢を除去できていなければ本末転倒です.歯磨剤には発泡剤やメントールなどの口に含むだけで爽快感が得られる成分を含むものもあります.個人的には,ご自身の歯ブラシがどれだけ当てられているか実感していただくために歯磨剤なしで歯磨きをしてみることもおすすめしています.
むし歯になったら必ず歯を削らないといけないんですか?
初期のむし歯においては、歯を削る必要はなく経過観察で管理することが可能になってきています。
初期のむし歯は、食生活習慣を改善することに加え,セルフケア・プロフェッショナルケアを徹底ししっかりと丁寧に歯磨きすることや,フッ素を応用することで歯の再石灰化を促し,削らずに経過観察で保存ことができることがあります。ただし、むし歯が進行している場合や、歯の神経に痛みが出た場合には、歯を削る必要がありますので,適切な診断が重要です。ご自身で判断するのは絶対にやめてください.必ず歯科医院での診断を受けるようにしましょう.
歯の痛みがあったが,放置していると痛みがなくなりました.むし歯が自然に治ることってありますか?
むし歯は自然に治ることはありません。放置していて痛みがなくなった場合は、むし歯が重度に進行している可能性があります。
痛みがなくなった場合は、むし歯が進行して歯の神経がダメージを受けてしまったことが理由である可能性があるため、歯科医院に早めに受診して診断を受けるようにしましょう。むし歯を早期に発見して早期に治療することで、痛みを伴ったり重篤な状態に進行する前に、より簡単な治療方法で済む場合があります。痛みが強くなったり,放置して崩壊している状態になってから受診した場合,治療も複雑で,回数も費用もかかることになり,非常に要領が悪いです.
2次むし歯ってなんですか?
2次むし歯とは、既に治療を受けた箇所に再びむし歯が発生することを指します。
むし歯治療を受けた歯は,むし歯を削り取った部分に詰め物や被せ物で再構築されます.つまり,人工物で補修されている状態です.むし歯が”治る”ことは,風邪が”治る”こととは全く違います.人工物に置き換えているのでどちらかというと義足や義手に近い治療です.
劣化しない人工物は存在しません.セルフケア・メインテナンスを怠ったりすると,詰め物・被せ物は劣化し隙間ができてしまいます.そこから細菌が入り込んでむし歯が再発することがあります。もちろん,食生活習慣が悪かったり,セルフケアを怠っている場合は、再発するリスクが非常に高まります。2次むし歯を防ぐためには、定期的なメンテナンスを受けること、歯磨きやフロスの習慣を身につけることが重要です。
むし歯が治る飲み薬とか特効薬はないですか?
むし歯が治る飲み薬は現在存在しません。
むし歯の治療には、再石灰化を促進させ経過観察する、患部のむし歯を削って詰め物・被せ物をする、むし歯が神経に波及している場合は根管治療をする、最悪の場合は抜歯をするなどの治療法があります。
監修者情報
玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長
歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。
「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。
著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。