ブログ・症例紹介
Blog 「健口から健康へ。」全身の健康と歯・口の繋がり
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こんにちは。ジョージ歯科口腔外科 院長の玉岡丈二です。
近年「人生100年時代」と盛んに言われるようになり世の中も大きく変化していますが、“歯と口腔の健康”を考えるうえで、歯学(歯)と医学(全身の健康)の繋がりを意識することはますます重要になると考えられています。
高齢化社会の定義について
高齢化社会の定義をご存知でしょうか?
高齢化社会とは、高齢化率が7%を超えた社会のことです。
これは、1956年の国連の報告書において、65歳以上を高齢者と位置付け、当時の欧米先進国の水準を基にしながら、仮に、7%以上を「高齢化した」人口と呼んだことが始まりといわれています。
一般的に、高齢化率が7%を超えた社会を①高齢化社会、高齢化率が14%を超えた社会を②高齢社会、21%を超えた社会を③超高齢社会と呼んでいます。
日本社会の高齢化の推移
私たちが現在生きる日本は①〜③のどのステージにあるのでしょうか?
順番に推移を確認していきましょう。
①の高齢化社会とは、高齢化率(人口における65歳以上の高齢者の割合)が『7%』以上になった状態です。
日本では、1970年にこのステージに突入しました。
②の高齢社会は、高齢化率『14%』(7%の2倍!)の状態で、こちらも日本の場合1995年に突入しました。
わずか25年で高齢社会へ突入しています。ちなみにドイツでは42年、フランスでは114年でこのステージに突入したそうです。
③の超高齢社会は、高齢化率『21%』(7%の3倍!)の状態で、こちらについても日本は2007年に超スピードで突入しています。
日本社会は“超超“超高齢社会へ突き進んでいる
2021年敬老の日時点の高齢化率は『29。1%』となっており、これは7%の4倍!の状態で、“超”超高齢社会と言っても良い社会となりました。
数字だとイメージがつきにくいのでわかりやすく言うと、4人に1人が高齢者で、8人に1人が後期高齢者の社会が今の日本になります。
ちなみに、グローバルな視点から見ても日本の高齢化率は堂々の1位で、2位にイタリア(23。6%)、3位ポルトガル(23。1%)と続きます。
政府によると、少子化による人口減少も加わって2040年には35。5%になると予測されており(7%の5倍!)
わかりやすく言うと3人に1人が高齢者の、“超超“超高齢社会がくると予測されています。
私は超超超高齢社会の歯科治療において、医療従事者はもちろん患者様にとっても健康への知識はとても重要になると考えています。
「平均寿命」と「健康寿命」の”格差”について
日本が超超超高齢社会に突き進むなかで、『健康寿命』と言うキーワードを良く聞くようになりました。
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと」です。
わかりやすく言うと「寝たきりになっていない自立してる期間」となります。
日本は、既にお伝えしたように世界で見ても断トツの超高齢社会で、平均寿命は女性で約87歳、男性で約81歳となっています。
では、日本人の『健康寿命』はどれくらいだと思いますか?
予想外かもしれませんが、女性で約75歳、男性で72歳と言われています。
つまり、男女共に約10年もの”格差”があるのです。この結果に皆様は何を感じるでしょうか?
「生活習慣病」と「フレイル」が注目されている
“10年の健康格差”をどうアプローチして縮めるのか、それが日本の医療(社会)における喫緊の課題とされています。
キーワードは生活習慣病とフレイル(虚弱)と目されています。
なぜかと言うと、寝たきり(要介護)の原因内訳を見てみると、フレイルに関連したものが約55%、生活習慣病に関連したものが約30%で、合わせると85%にものぼることがわかっています。
そこで注目されているのが歯および口腔です。
むし歯や歯周病はさまざまな生活習慣病と関連していることが既に証明されています。
全身疾患と口腔の関係はまた詳細に後述したいと思いますが、そもそも論としてむし歯や歯周病は生活習慣病です。
玉岡丈二が行ってきた「フレイルと口腔の関係性」の研究
次にフレイル(虚弱)ですが、フレイルにはオーラルフレイル(口腔の虚弱)が関与していることが多くの研究で証明されつつあります。
私は大学教員時代、高齢化農村地区(兵庫県篠山市)での高齢集団における前向きコホート研究を担当し、いろいろなオーラルフレイルの科学的根拠(エビデンス)を確立してきました。
一部を下記にご紹介します。
農村地区における65歳以上の高齢者672名を対象にフレイルと口腔機能低下症の関連性を解析したところ、
咬合力低下、咀嚼能力低下、嚥下能力低下を有する対象者は、フレイルのリスクが有意に高いことが示されました。
また、フレイルと判定された場合は、口腔機能低下症を有する危険率が1。8倍といったデータが出てきました。
噛み砕いてわかりやすく言うと、口腔機能低下症はフレイルの発生と有意な関連性があることが証明されたのです。
Does Oral Hypofunction Promote Social Withdrawal in the Older Adults? A Longitudinal
Survey of Elderly Subjects in Rural Japan。
Hasegawa Y、 Tamaoka J、 et al。 Int。 J。 Environ。 Res。 Public Health。 2020。
咀嚼能力と全身の栄養状態との関わり。
定兼亜弓、 玉岡丈二、 他。第11回日本静脈経腸栄養学会。2019。
まとめ
現在の日本はすでに超高齢社会で、今後ますます高齢化は進行し「”超超”超高齢社会」と言える社会に突き進んでいくことは間違いないと言えます。
これからの「人生100年時代」に備えて、「健康寿命を延ばす」ことが重要です。
そして、キーワードは「生活習慣病」と「フレイル(虚弱)」と目されており、そこで重要視されてきているのが「歯および口腔」です。
“歯と口腔の健康”を考えるうえで、歯学(歯)と医学(全身の健康)の繋がりを意識することはますます重要になります。
ジョージ歯科口腔外科では、「健康から健口」の意識した本質的な歯科口腔医療を提供致します。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
監修者情報
玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長
歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。
「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。
著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。