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こんにちは。ジョージ歯科口腔外科 院長の玉岡丈二です。

私はこれまで歯科医師・医学博士として、「医学と歯学の繋がり」をテーマに研究・発信をしてきました。

中でも、私が特に専門としている骨粗鬆症と口腔・歯の関連性について歯医者の立場から解説致します。


骨は一見”硬い固体”ですが、「常に新陳代謝(リモデリング)が行われること」で形を保っています。

古くなった骨は”破骨細胞”という細胞によって”吸収”され、その後新しい骨を作る”骨芽細胞”によって”形成”され、これを常に繰り返しています。

まさに「生きている」と言う表現ができるのです。

健康な骨は、骨吸収(骨を壊す働き)と骨形成(骨をつくる働き)のバランスがつり合っています。そのバランスが崩れ、骨吸収がどんどん進んで骨形成を上回ってしまい、その結果骨がスカスカもろい状態となり、骨折しやすくなります。

これが「骨粗鬆症」です。

骨粗鬆症は「骨が弱くなり、骨折しやすくなる」病気です。

骨の強度には骨密度と骨量が関与すると言われています。正常な人の骨量は30代から40代前半をピークに、以降徐々に減少していきます。

特に女性は閉経周辺期に急激に骨量が低下すると言われています。骨量の低下に加え、骨質が悪くなり転倒などのイベントが起こると骨折しやすい状態になってしまします。

全国の骨粗鬆症疾患患者数を推計した報告(2015年)によると、骨粗鬆症患者は推計で女性約1、000万人、男性で約300万人とされています。

その中で診断および治療を受けている人数は約200万人程度(約15%)と言われています。

超高齢化社会を突き進む日本では今後さらに増加する疾患であることは間違いないでしょう。

骨粗鬆症について

骨粗鬆症は原発性骨粗鬆症続発性骨粗鬆症に大別されます。

  • 原発性骨粗鬆症

原発性骨粗鬆症は、骨粗鬆症の約80%にあたり、女性に多く認められます。閉経後の女性に生じる「閉経性骨粗鬆症」と、男性に生じる「男性骨粗鬆症」、若年者に生じる「若年性骨粗鬆症」があります。

  • 続発性骨粗鬆症

ほかの全身疾患や薬剤に起因する骨粗鬆症を「続発性骨粗鬆症」と言います。原因となる代表的な全身疾患としては、副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、関節リウマチ、糖尿病をはじめとする生活習慣病で頻度が高いとされています。薬剤の副作用による骨粗鬆症では、代表的なものにステロイド薬の長期服用があります。

骨粗鬆症の原因は大きく分けて、身体的要因生活習慣要因その他が考えられています。

  • 身体的要因

身体的要因として、高齢、女性ホルモン減少(閉経)、骨粗鬆症で骨折した家族がいる、骨密度が低い、やせすぎ、過去に脆弱性骨折の既往がある、などが挙げられます。

  • 生活習慣要因

身体的要因として、過度の飲酒や喫煙、運動不足、カルシウム不足、日照不足(日照によるビタミンDの不足)が挙げられます。

  • その他

その他には、骨代謝に影響を及ぼす薬(甲状腺ホルモン薬、ステロイドなど)の内服、全身疾患(甲状腺疾患、糖尿病、関節リウマチなど)、卵巣摘出の既往などが挙げられます。

自覚症状が乏しく、「背中が丸くなる」「身長が縮む」といった症状が徐々に起こるため「病気」と気付かずに進行することが多いのが特徴です。気付いた時には病状がかなり進行していたということも少なくありません。

骨粗鬆症は骨折をきたしてはじめて症状を呈するようになります。骨折のみが主症状ですが、重症になると日常生活動作にも支障をきたすようになります。

骨粗鬆症により、股の付け根(大腿骨近位部)を骨折すると歩行が困難になり、治療に時間がかかり、その間に全身の機能が低下し、寝たきりになる恐れもあります

骨粗鬆症は特に「痛み」が発生しません。
弱くなった骨に力が加わると上下から押しつぶされるように「圧迫骨折」を起こします。その結果、骨がつぶれたり変形したりすることによって、続発して「痛み」などの症状がでます。
骨粗鬆症になると「転んでしまった」「重い物を持ち上げた」程度で圧迫骨折が起こります。圧迫骨折を起こすと痛みを感じますが痛みを伴わないこともあり注意が必要です。

骨粗鬆症により寝たきりになる恐れ

骨粗鬆症の治療の目的は、骨密度の低下を抑え、骨折を防ぐことにあります。

まず食事指導として、基本的な栄養素が充足していることを確認し、カルシウムやビタミンDを多く含む食品の摂取が推奨されます。

治療は薬剤療法が基本となり、骨粗鬆症治療薬にはさまざまな種類が存在します。中でも、第一選択薬として高い骨折予防の証拠のある薬は、強力な「骨吸収抑制薬」であるビスホスホネートデノスマブが推奨されています。

  • ビスホスホネート

ビスホスホネート系薬剤は、1日1回、週1回、月1回の複数の種類の製剤があり、起床時にコップ1杯の水を飲水して、30分は横にならず、食事もしないという特殊な服薬指導が必要な薬剤です。そこで最近では、1年に一回の点滴で強力な効果を発揮する製剤も使用されるようになっています。

骨粗鬆症には、エチドロン酸二Na(ダイドロネル®︎)、アレンドロン酸Na(フォサマック®︎、ボナロン®︎、ボナロン点滴静注バッグ®︎)、リセドロン酸Na(アクトネル®︎、ベネット®︎)、ミノドロン酸(ボノテオ®︎、リカルボン®︎)、イバンドロン酸Na(ボンビバ®︎、ボンビバ静注®︎)、ゾレドロン酸水和物(リクラスト点滴静注液®︎)が使用されます。

  • デノスマブ

デノスマブは抗RANKL抗体製剤で、6ヶ月に1回皮下注射で投与されます。副作用として低カルシウム血症があり、その予防のためにカルシウムやビタミンD製剤の補充が必要になることがあります。

骨粗鬆症には、デノスマブ(プラリア®︎)が使用されます。

  • 副甲状腺ホルモン薬:テリパラチド、ほか
  • カルシウム薬:乳酸カルシウム、ほか
  • 女性ホルモン薬:エラストラジオール、ほか。
  • ビタミンD薬:エルデカルシドール、
    ほか
  • SEARM:バゼドキシフェン、ほか
  • カルシトニン薬:エルカトニン、ほか
  • ビタミンK薬:メナテトレノン、ほか
  • ロモソズマブ

最近では骨吸収抑制と骨形成促進の2つの効果を併せ持った抗スクレロスチンモノクローナル抗体:ロモソズマブ(イベニティ®︎)という強力な薬剤も使用可能になり、月に1回の皮下注射にて投与されます。

*歯科医院を受診する際のポイント

以前、骨吸収抑制薬は「骨粗鬆症には経口薬」が一般的に認識されていました。しかし、骨粗鬆症に対する注射薬が発売されたのに加え、デノスマブは注射薬(皮下注)ですから、歯科治療を受ける際は歯科医師に十分に相談するようにしましょう。

注射薬の場合はお薬手帳に記載されないことが多いので、歯科医院を受診する際はお薬手帳のみでなく服薬の申告を確実に行うようにしましょう。

また、骨粗鬆症の薬物治療は年単位の期間の長い服薬で効果が出ます。自己判断で薬を中断しないようにしましょう。

骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症と歯周病の関係性については下記以外にも世界各国でこれまで多くの科学的根拠が報告されています。

骨粗鬆症女性は正常骨密度女性よりも辺縁性歯周炎の重症度が有意に高い。

Penoni DC、 et al。 J Dent Res 2017

ビスホスホネートによる骨粗鬆症治療によって、辺縁性歯周炎が改善する結果。

Akram Z、 et al。 Br J Clin Pharmacol 2017

わかりやすく言うと、「骨粗鬆症の患者様は歯周病のリスクが高い」けど、「骨粗鬆症の治療は歯周病の改善に有効」であることが報告されています。

歯周病は歯の支えとなっている骨が失われていくことで、歯の予後に大きな影響を及ぼす病気です。「歯周病=骨の病気」とも表現されます。

骨粗鬆症も骨の病気ですから、深く関連があることは想像に容易いのではないでしょうか。

歯周病は”Silent
disease(沈黙の病)”とも表され、自覚症状を感じることなく進行します。症状が出てきた頃には歯を残すことが難しくなっていることも珍しくありません。骨粗鬆症の診断を受けた方や治療中の方は、早めに歯科医院を受診し、全身的な状況を含めて歯科医師と相談し、歯周病及び口腔の健康について対応をするようにしましょう。

骨粗鬆症と歯周病

日本における患者数は推計で約1、300万人とされていますが、その中で診断および治療を受けている人数は約200万人程度(約15%)と言われています。骨粗鬆症は自覚症状なく進行し、骨折をきたすと寝たきりになる恐れもあります

適宜医科に受診し、適切に骨粗鬆症の診断・治療を受けましょう。特に中年期以降の女性は要注意です。症状が無くても女性は40歳を過ぎたら定期的に骨密度検診を受けることが望ましいと言われています。

また、骨粗鬆症の診断を受けた方や治療中の方は、早めに歯科医院を受診し、全身的な状況を含めて歯科医師と相談し、歯周病及び口腔の健康について対応をするようにしましょう。

ジョージ歯科口腔外科では、全身的な医学的背景および予防的な長期視点に立った本質的な歯科口腔医療を提供致します。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長

歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。

「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。

著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。