症例紹介
Blog 77歳・糖尿病があってもインプラントは可能?身体への負担を抑えて治療した症例
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「高齢でもインプラント治療はできますか?」
「糖尿病があると、インプラントは難しいですか?」
当院でも、このようなご相談をいただくことがあります。
年齢や持病だけでインプラント治療ができないと決まるわけではありません。一方で、若く健康な方とまったく同じように治療を考えるのではなく、全身状態や骨の状態を確認し、できるだけ身体への負担を抑えた治療計画を立てることが重要です。
今回は、糖尿病と高血圧のある77歳の患者さんに行ったインプラント治療をご紹介します。
痛みと排膿があり、大きく骨が失われていました

77歳の女性で、右下の奥歯の痛みと排膿を主訴に来院されました。
診査したところ、右下の歯には歯根破折が認められ、CTではその周囲の骨が大きく失われていました。
この部分に通常通りインプラントを埋入しようとすると、大きな骨造成(GBR)が必要になる状態でした。
また、患者さんには糖尿病と高血圧の既往がありました。
糖尿病があっても、状態を確認して治療を検討します
糖尿病のある患者さんでは、血糖コントロールの状態によって、術後の治癒や感染などに注意が必要です。
そのため今回は、かかりつけの内科と連携し、現在の治療状況やHbA1cなどを確認しました。
血糖コントロールは良好で、全身状態も含めて評価したうえで、インプラント治療が可能と判断しました。
持病があるから一律にインプラント治療ができない、というわけではありません。
当院では必要に応じてかかりつけ医と連携し、安全性を確認しながら治療方針を検討しています。
大きな骨造成を避ける治療計画に

今回、特に重視したのがインプラントを入れる位置です。
骨が大きく失われていた部分にインプラントを埋入することも選択肢の一つですが、その場合には比較的大きな骨造成が必要になります。
患者さんの年齢や全身状態、残っている骨の状態などを総合的に考え、今回は骨欠損の大きな部分へのインプラント埋入を避け、その前後に2本のインプラントを埋入し、ブリッジで歯をつくる計画としました。
インプラント治療では、「骨がないから骨をつくる」だけではなく、インプラントを入れる位置や補綴方法を工夫することで、手術の負担を抑えられる場合があります。
抜歯と同時に、次の治療のための準備を行いました

まず問題のある歯を抜歯し、抜歯後に骨が大きく痩せることを抑えるため、ソケットプリザベーションを行いました。
また、長期間ブリッジが入っていた影響もあり、奥歯の部分では歯ぐきと頬の境目(口腔前庭)が浅くなっていました。
そのため、将来インプラント周囲を清掃しやすい環境をつくることも考え、口腔前庭形成術を併せて行いました。
インプラントを入れることだけではなく、その後のメンテナンスまで考えて治療環境を整えていきます。
必要な部分だけ、小範囲の骨造成を行いました

抜歯部の骨と軟組織の治癒を待った後、2本のインプラントを埋入しました。
手前側は骨の幅がやや狭かったため、細い径のインプラントを選択し、必要な範囲に限って小規模な骨造成を行っています。
最初に問題となっていた部分に大きな骨造成を行う方法と比較して、必要な処置をできるだけ小さな範囲にとどめることができました。
その後の治癒も良好で、最終的には2本のインプラントを支えとしたブリッジを装着しました。


高齢の方ほど「無理をしない治療計画」を
インプラント治療に、明確な年齢だけの上限があるわけではありません。
70代以降の患者さんでも、全身状態や服用薬、口腔内の状態などを確認し、適切に治療計画を立てることでインプラント治療を検討できる場合があります。
今回の症例では、糖尿病について内科と連携して状態を確認したうえで、大きな骨造成を必要とする部位をあえて避け、残っている骨を利用して治療する方法を選択しました。
難しい場所に無理にインプラントを入れることが、必ずしも患者さんにとって一番良い治療とは限りません。
当院では、年齢や全身状態、骨の状態、その後のメンテナンスまで含めて、できるだけ負担の少ない治療方法を検討しています。
この症例のポイント
- ・77歳、糖尿病・高血圧の既往がある患者さんのインプラント治療
- ・かかりつけ内科と連携し、糖尿病のコントロール状態などを確認したうえで治療を計画
- ・骨欠損の大きい部位への大規模な骨造成を避け、残存骨を活かせる位置にインプラントを埋入
- ・抜歯後にソケットプリザベーションと口腔前庭拡張術を行い、段階的に治療
- ・必要な部位のみ小範囲の骨造成を行い、できるだけ身体への負担を抑えた治療計画とした
リスク・注意点
- ・インプラント治療は外科処置を伴い、術後に痛み・腫れ・出血・感染などが生じることがあります
- ・神経や血管の損傷、知覚異常などが生じる可能性があります
- ・骨の状態によっては骨造成などの追加処置が必要になる場合があります
- ・インプラントが骨と結合せず、撤去や再治療が必要になることがあります
- ・糖尿病などの全身疾患や服用薬の状態によっては、治療が行えない場合や主治医との連携が必要になる場合があります
- ・治療後も歯周病やインプラント周囲炎を予防するため、定期的なメンテナンスが必要です
- ・治療結果や治療期間には個人差があり、すべての患者さんに同様の結果を保証するものではありません
費用
- ・インプラント治療(上部構造を含む):495,000円×2本(税込)
- ・ソケットプリザベーション:44,000円(税込)
- ・GBR法(骨を再生させる処置) 77,000円(税込)
- ・ガイドサージェリー:77,000円(税込)
- ・合計:1188,000円(税込)
※症例によって必要となる処置は異なるため、費用は変動する場合があります。
監修者情報
玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長
歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。
「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。
著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。

