ブログ・症例紹介
Blog 前歯インプラント症例⑵(骨がないとき)
歯の根っこが折れて抜歯となってしまった患者様、インプラント治療を希望されご紹介を頂き治療を担当させて頂きました。
前歯を失うと患者様の生活の質を著しく低下させてしまいます。
治療前
60歳代男性
依頼内容:差し歯が取れてかかりつけ歯科医院で抜歯の診断となった。骨が薄いため、かかりつけ歯科医院ではインプラントは対応困難と言われたが、ブリッジよりもインプラントをしたい。
右上1番目の前歯の差し歯が取れてしまっており、残っている歯がとても少ない状態です。
レントゲンでも歯は少なく、一部は歯ぐきの中まで歯がない状況で、歯の根っこの中が折れてしまっている状態です。
残念ですが、紹介元のかかりつけ歯科医院の診断と同様に抜歯治療適応の診断となります。
しかし、充分な術前の診査・診断を行った結果、「骨」を作る骨造成治療を適応すればインプラント治療は対応可能と判断しました。
まずは抜歯を行い、歯ぐきの治りを待ってインプラント埋入術+骨造成手術の計画としました。
どのように対応したかみていきましょう。
治療中
周囲の組織を損傷しない様に丁寧に抜歯を行なったところ、予測通り歯の根っこは破折しており、炎症によって部分的に骨が陥没していました。
CTで3Dシュミレーションを行なったところ、歯茎の下にある骨が部分的になくなっていることが予測されました。
骨がないとインプラントを入れることができませんが、今回は、「骨」を作る骨造成治療を適応し、インプラント治療を行いました。
歯茎を切開し骨を露出したところ、予想通り抜歯をした所の骨が凹んでいました。
最終的な被せ物の位置関係を考えてインプラントを入れた状態ですが、骨が薄くインプラントが部分的に露出しています。
ここから足りない骨を人工骨で補っていきます。
人工骨を丁寧に補い、メンブレンという人工の膜で保護していきます。
今回は骨の凹みが大きかったため、しっかりと骨を作ることのできる溶けない(非吸収性)チタン性の膜を使用した術式を行いました。
十分に粘膜を伸ばして、確実にかつ丁寧に縫合し、完全に傷口を閉鎖し手術を終了しました。確実に傷口の閉鎖を行えるかどうかがこの手術の大事なポイントになります。
術後約4ヶ月間、骨の治りとインプラントがくっつくことを待機した後、
チタン性の膜を除去するのに加えて、インプラントの頭を出すためのインプラント2次手術+歯ぐきの形成術を行いました。
人工骨はまだ少し顆粒状ですが、インプラントの周りに十分な骨ができていることがわかります。
治療後
インプラント埋入手術+骨造成手術を行なった後、インプラント2次手術+歯ぐきの形成手術を行い、オールセラミッククラウンで治療しました
※患者様にご説明し、症例提示の同意をいただいた上で掲載しております。
リスク
手術後,痛みや違和感・出血・腫れなどが出る可能性があります.
インプラント治療は継続的なメインテナンスが不十分な場合,インプラントの歯周病(インプラント周囲炎)になるリスクが上がります.担当医からの注意事項説明を充分に理解して頂くようお願いします.
治療期間
約8ヶ月
治療費用
約¥580,000(税別)
費用内訳
●前歯インプラント費用(土台から被せ物まで含む):¥450,000 /1本(税別)
●GBR法(中):¥100,000 /1ブロック(税別)
●歯肉弁移動術:¥30,000 /1ブロック(税別)
監修者情報
玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長
歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。
「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。
著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。