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前歯インプラント治療⑹骨がないとき

治療前

10年以上前に転倒され前歯をけがした患者様

最近になってグラつきが出てきたため近くの歯科を受診したところ、

抜歯と診断され、

「インプラントは困難で、Brを勧められたが隣の歯を削りたくないため可能であればインプラントをしたい」と受診頂きました

左上1番目の前歯は,転倒による外傷の既往があり,その影響から,歯が根っこ中で折れ、その中から歯の根っこが吸収(溶けて)てしまっていた模様です.

患者様には,両隣の健康な歯を削ってブリッジにするのは避けたい希望がありました.

充分な術前の診査・診断を行ったところ,「骨」を作る骨造成治療を適応すれば患者様の希望通りインプラント治療は対応可能と判断しました.

どのように対応したかみていきましょう.

 

治療中

抜歯をすると、すでに骨が大きく吸収しており、骨だけでなく歯ぐき(軟組織)も痩せてしまっている状況です.

骨がないとインプラントを入れることができませんが,今回は「骨」を作る骨造成治療を適応し,インプラント治療を行いました.

歯茎を切開し骨を露出したところ,予想通り抜歯をした所は骨がやせていました.

最終的な被せ物の位置関係を考えて,慎重にインプラントを入れます.

インプラントを入れたあと,骨がない部分的を人工骨で補っていきます.

前歯のインプラント治療は,長期的にインプラントを守るためにもしっかりと骨を作ることが重要です.しっかりと骨を作ることのできる,溶けない(非吸収性)チタン性の膜を使用した術式を行いました.

術後約4ヶ月間,骨の治りとインプラントがくっつくことを待機した後,チタン性の膜を除去すると,インプラントの周りに十分な骨ができており,インプラントはしっかり骨で覆われていることがわかります.

インプラントの頭を出すためのインプラント2次手術に加えて,さらに歯ぐき厚みを確保するために歯ぐき形成術(上顎から歯ぐきの組織を移植してインプラント周りを補強する手術:結合組織移植術)を同時に行いました.

治療後

インプラント埋入手術+骨造成手術を行なった後,インプラント2次手術+歯ぐきの形成手術(結合組織移植術)を行い,セラミッククラウンで治療しました.

患者様にご説明し,症例提示の同意をいただいた上で掲載しております.

リスク

手術後,痛みや違和感・出血・腫れなどが出る可能性があります.

インプラント治療は継続的なメインテナンスが不十分な場合,インプラントの歯周病(インプラント周囲炎)になるリスクが上がります.担当医からの注意事項説明を充分に理解して頂くようお願いします.

治療期間

約8ヶ月

治療費用

約¥620,000(税別)

費用内訳

●前歯インプラント費用(土台から被せ物まで含む):¥450,000 /1本(税別)

●GBR法(中):¥100,000 /1ブロック(税別)

●結合組織移植術:¥70,000 /1ブロック(税別)

 

 

 

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玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長

歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。

「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。

著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。