ブログ・症例紹介
Blog 前歯インプラント治療⑷(骨があるとき)
差し歯と残っているご自身の歯との境界からの「二次むし歯」が原因で差し歯が取れてしまった患者様。二次むし歯が歯ぐきの中まで進行しており抜歯適応となりましたが、隣の健康な歯を削ってブリッジにするのは避けたい希望があり、インプラント治療を希望され治療を担当させて頂きました。
前歯を失うと患者様の生活の質を著しく低下させてしまいます。
治療前
50歳代女性
依頼内容:二次むし歯で差し歯がとれてしまった。抜歯適応の診断となったが、隣の健康な歯を削ってブリッジにするのは避けたいので、インプラントをしたい。
差し歯と残っているご自身の歯との境界からの「二次むし歯」が原因で差し歯が取れてしまった状態です。二次むし歯が歯ぐきの中まで進行しており、残念ながら抜歯適応の診断となります。患者様には隣の健康な歯を削ってブリッジにするのは避けたい希望がありました。
十分な術前の診査・診断を行ったところ、「骨」を作る骨造成治療を適応すれば患者様の希望通りインプラント治療は対応可能と判断しました。
部分的に骨造成治療は必要ですが、周囲の骨はある程度好条件であったため、抜歯と同時にインプラント埋入を行う抜歯即時インプラント埋入術+骨造成手術の計画としました。
どのように対応したかみていきましょう。
治療中
周囲の組織を損傷しない様に丁寧に抜歯を行なったところ、緑のラインで示すように周囲には骨は十分に残っている状態でした。
抜歯をした穴が存在することで通常の方法よりも難易度が高い手術になりますが、最終的な被せ物の位置関係を考えて「抜歯即時埋入法」でインプラントを入れました。
インプラントを入れたあと、骨が足りない部分には人工骨を補っていきます。白い顆粒状のものが人工骨になります。
人工骨を丁寧に補い、メンブレンという人工の膜で保護していきます。今回は、しっかりと骨を作るために、自然に溶ける(吸収性)膜を使用した術式を行いました。
このあと確実に縫合を行い、一次手術は終了です。
術後約4ヶ月間、骨の治りとインプラントがくっつくことを待機した後、骨を確認するとインプラントの周りに十分な骨ができていることがわかります。青のラインは全て骨になっている状態です。
インプラントの頭を出すためのインプラント2次手術を行いました。
2次手術と同時に仮歯を作成し、この段階で咬める状態となりました。
治療後
抜歯即時インプラント埋入手術+骨造成手術を行なった後、インプラント2次手術を行い、セラミッククラウンで治療しました。
※患者様にご説明し、症例提示の同意をいただいた上で掲載しております。
リスク
手術後,痛みや違和感・出血・腫れなどが出る可能性があります.
インプラント治療は継続的なメインテナンスが不十分な場合,インプラントの歯周病(インプラント周囲炎)になるリスクが上がります.担当医からの注意事項説明を充分に理解して頂くようお願いします.
治療期間
約6ヶ月
治療費用
約¥530,000(税別)
費用内訳
●前歯インプラント費用(土台から被せ物まで含む):¥450,000 /1本(税別)
●抜歯即時埋入術:¥50,000 /1ブロック(税別)
●歯肉弁移動術:¥30,000 /1ブロック(税別)
監修者情報
玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長
歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。
「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。
著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。