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こんにちは。ジョージ歯科口腔外科 院長の玉岡丈二です。私はこれまで歯科医師・医学博士として、「医学と歯学の繋がり」と「インプラント」をテーマに研究・発信をしてきました。

今回は、今では一般的に普及しているインプラント治療の歴史と原理について、これからインプラント治療を検討されている患者様にぜひ知って頂きたい内容を解説致します。


人工歯根治療の歴史は実はとても長いです。(近代のインプラントとイメージを分けるために人工歯根と言う表現としています)

今も昔も「歯を失って噛めなくなる」と言う悩みは人類にとって共通の“とてつもなく大きな課題”で、現代の最新の医学的知見をもっても解決には至っていません。

歴史を見てみると、2000年以上も前から「失った歯を何らかの方法で回復させて再び噛めるようになる」ことを“人類は夢見て“試行錯誤をしていたようです。

特別に高貴な人々のために、宝石や貝殻、象牙、動物の骨、金、さらには奴隷から抜いた歯などを利用して、歯を失った代わりの人工歯根治療として行われていたことが文献やミイラなどの発見で明らかになっています。

中でも西暦600年頃と推測される、“真珠貝を顎骨に植立された”ミイラが発見された際には、解析すると顎骨と真珠貝が骨と接合していることが発見され、生体との親和性や骨との接合を意識された現代のインプラント治療に通じるものも古代から存在します。

シンプルに失った歯の部分になんらかの代用物を埋入してみようと考えてみたとしても、古代の清潔への概念や麻酔や医療器具がない時代での手術は想像を絶します。

治療の成功率はもちろん相当に悪かったと思われ、アイデアはあったものの近年になるまでほぼ2000年もの間実用化することが出来なかったのが人工歯根治療と言えます。

それが現代の骨接合インプラント治療の登場によって大きく進歩し普及し、人類の夢が現実となりつつあります。

人工歯根治療の歴史

アイデアはあったものの、近年になるまでほぼ2000年以上もの間実用化することが出来なかった人工歯根治療。

それが、骨と人工材料がくっつく『骨接合』と言う概念の発見によって大きく進歩しました。

1952年にスウェーデンの整形外科医であるブローネマルク教授が、実験として動物の骨に埋入したチタン製器具が骨と癒着して摘出できなかったと言う“偶然”から『骨接合』を発見されました。

そこから試行錯誤を繰り返され1980年以降に一気に世界中に普及し、今では安定した臨床成績を収めています。

人類にとって長年の夢であった人工歯根治療は、骨接合インプラント治療の登場で身近なものとなりました。

ただ逆説的に言うと、歴史はまだ浅く新しい治療であるとも言えます。

医療技術の進歩は著しいものがあり、私たちにとって非常に有用です。一方で、万年変わらない人体の本質を思考することも決して忘れてはいけないでしょう

インプラント治療を検討されている患者様は、歯科医師と全身状態を踏まえて十分に治療方針を相談するようにしましょう。

骨接合インプラントの登場

現在一般的に普及している骨接合インプラントに用いられる材料はチタンです。

チタンは生体との親和性が高く、人体に異物として認識されにくい材料です。歯科だけでなく他の様々な分野で優れた材料として利用されており、医科では整形外科領域で特に人工関節に利用されていることが認識されています。

骨は一見”硬い固体”ですが、「常に新陳代謝(リモデリング)が行われること」で形を保っています。古くなった骨は”破骨細胞”という細胞によって”吸収”され、その後新しい骨を作る”骨芽細胞”によって”形成”され、これを常に繰り返しています。まさに「生きている」と表現ができます。

このリモデリングのメカニズムがインプラント周辺に発生し、新しくできた骨が生体親和性の良いチタンの周囲に発生します。そして、骨がチタン表面の細かい部分に入り込んでいき、インプラントが骨と接合した状態となります。

このようにインプラント治療は生体の反応を利用した治療です。ですから、例えば骨折が治癒する期間に患者様の年齢や全身的な背景によって個人差があるのと同様に、もちろんインプラントが骨接合する速度にも個人差があります。

一般的にインプラント体と生物学的安定性を保証する程度まで骨と結合するまでにかかる期間は、骨のリモデリングの期間を考慮すると2〜6ヶ月程度の待機期間が必要となります。インプラントが骨との十分な結合を獲得するまでは、余分な刺激を与えず安定させることが望ましいといえます。

近年では、治療期間の短縮のため、ネジ形態による機械的な固定力(初期固定)を利用した治療も多く普及しています。
適応には、患者様各々の口腔状態および全身的な背景はもちろん、歯科医師のインプラント治療の習熟度が関わります。担当の歯科医師に十分に相談し、患者様ご自身も理解したうえで治療を開始するようにしましょう。

インプラントの原理

人類にとって長年の夢であった人工歯根治療は骨接合インプラント治療の登場で身近なものとなりました。

しかしながら、歴史はまだ浅く新しい治療であるとも言えます。

医療技術の進歩は著しいものがあり、私たちにとって非常に有用です。一方で、万年変わらない人体の本質を思考することも決して忘れてはいけないでしょう。

インプラント治療は生体の反応を利用した治療であることを理解することが大切です。

「人生100年時代」を意識した安全なインプラント治療には、適切な医学的知識を持った「信頼できる歯科医師・歯科衛生士」のサポートが重要と言えます。

ジョージ歯科口腔外科では、全身的な医学的背景および予防的な長期視点に立った本質的な歯科口腔医療を提供致します。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長

歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。

「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。

著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。