症例紹介
Blog 抜歯後の骨を守る『ソケットプリザベーション』で負担の少ないインプラント治療を実現した症例
Contents

「抜歯すると骨は自然に治る」と思われる方は少なくありません。
しかし実際には、抜歯後に顎の骨が大きく痩せてしまうことがあり、その結果、インプラント治療の前に大規模な骨造成が必要になるケースもあります。
今回は、抜歯と同時にソケットプリザベーション(抜歯窩温存術)を行うことで骨を守り、その後は比較的シンプルなインプラント治療で機能回復できた症例をご紹介します。
主訴
「右下の銀歯が何度も腫れる。他院で抜歯と言われたので、インプラント治療を希望した。」
来院時の状態

右下7番は歯根破折を認め、瘻孔形成による排膿を繰り返していました。
レントゲン・CTでは歯の周囲に大きな骨欠損が認められ、このまま抜歯するだけでは骨吸収が進み、将来的なインプラント治療が難しくなる可能性がありました。
治療前にお伝えしたこと
まずは炎症を落ち着かせ、歯周病をコントロールした上で抜歯を行うこと。
さらに、抜歯時に骨をできるだけ保存する治療(ソケットプリザベーション)を行うことで、将来的な治療の負担を軽減できる可能性をご説明しました。
また、歯ぎしり・食いしばりが強かったため、ナイトガードによる力のコントロールも同時に行う方針としました。
診断
右下7番 歯根破折による根尖性歯周炎
行った治療
- 歯周基本治療
- ナイトガード作製
- 右下7抜歯
- ソケットプリザベーション
- 3か月後インプラント埋入
- インプラント上部構造装着
- 定期メンテナンス
ソケットプリザベーションとは?

歯を抜いた後は、何もしないと顎の骨が少しずつ痩せてしまいます。
骨が大きく失われると、インプラント治療の前に大掛かりな骨造成が必要になることがあります。
ソケットプリザベーション(抜歯窩保存術)は、抜歯と同時に骨補填材などを入れて骨の形をできるだけ維持する治療です。
骨を守ることで、その後のインプラント治療をよりシンプルで負担の少ないものにできる可能性があります。

今回の症例でも、抜歯と同時にソケットプリザベーションを行ったことで骨の治癒は良好で、3か月後には追加の大きな骨造成を行うことなくインプラント治療を行うことができました。
インプラント治療

3か月後には骨の治癒は良好で、大規模な骨造成を追加することなくインプラントを埋入することができました。

現在もナイトガードを継続しながら定期メンテナンスを受けていただき、良好な経過を維持しています。
この症例のポイント

この症例で最も重要だったのは、抜歯後の骨を守ったことです。
骨が失われてから再建するよりも、最初から骨を残す方が患者さんの負担は少なく、治療もシンプルになります。
インプラント治療は、インプラントを入れる技術だけでなく、その前段階の診断・治療計画が結果を大きく左右します。
リスク・注意点
ソケットプリザベーションを行っても、骨の回復量には個人差があります。
また、喫煙、糖尿病、歯周病の進行、歯ぎしり・食いしばりなどは治療結果に影響する可能性があります。
インプラント治療後も、定期的なメンテナンスとナイトガードの継続が重要です。
- 術後の腫れ、痛み、内出血
- 感染
- 骨造成量が不足する可能性
- インプラントと骨が結合しない可能性
- 神経麻痺
- 将来的なインプラント周囲炎
費用(税込)
ソケットプリザベーション:44,000円
インプラント治療(上部構造を含む)1本:495,000円
ガイドサージェリー:55,000円
合計594,000円
※症例によって必要となる処置は異なるため、費用は変動する場合があります。
当院の考え
インプラント治療は、「いかに難しい手術をするか」ではなく、「いかに難しい手術をしなくて済むように準備するか」が重要だと考えています。
抜歯の段階から将来を見据えて骨を守ることで、患者さんの負担をできるだけ少なくし、長期的に安定した治療につなげることを大切にしています。
監修者情報
玉岡丈二 ジョージ歯科口腔外科 院長
歯科医師。医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。日本口腔外科学会認定医。
「医学と歯学を繋ぐ」と「インプラント」を専門とし、兵庫医科大学にて医学博士号を取得。兵庫医科大学歯科口腔外科学講座助教を経て、専門医として口腔領域の多岐にわたる手術を担当。2023年ジョージ歯科口腔外科を開院し、「まっすぐに」向き合う医療を志す。
著書・論文に『「人生100年時代」 のインプラント治療の考えかた』『口腔インプラント医が知っておくべき骨吸収抑制薬の知識(日口腔インプラント誌2019)』等。

